台湾には牛肉のおいしい料理が多いですよね。その筆頭は牛肉麺で、米CNNが放映した「台湾になくてはならない料理」のランキングで2位に選ばれたように、外国人も大好きな台湾式の牛肉の料理です。また、台南の朝食名物の牛肉スープや、おみやげとして有名な牛肉乾(ビーフジャーキー)もありますね。こうした牛肉に関係した料理が多いため、台湾には牛肉好きの人が多いと思われることでしょう。しかし、台湾の市場調査会社が実施したオンライン調査によると、牛肉を食べないとの回答が約6,000人のうち約900人に上りました。一体、台湾人が牛肉を食べない理由は何なのでしょう。
受験生の「禁断の食べ物」
昔の台湾は農業社会でした。牛は大切な耕作の道具だったため、失う場合の損失は大きく、また、一緒に働く「仲間」としての気持ちもあり、食べることは到底考えられませんでした。もともと食べる習慣がなかったことが、食べない人が多い第一の理由として考えられます。
そして、試験の合格祈願のために「牛肉断ち」をするという話もよく聞きます。試験のために1年間牛肉を食べないと誓いを立てる人は珍しくなく。
なぜこういう慣習が存在するのかというと、一番有力な説は、中華圏の学問の神様、文昌帝君(ぶんしょうていくん)が牛に座っているためというものです。牛を食べてしまうと、困ったときに文昌帝君が助けに来てくれなくなるのです。また、文昌帝君はえとが丑(うし)のため、牛肉を食べない方が守ってくれるとの説もあり、こうしたことから牛肉は受験生の「禁断の食べ物」になりました。
運気低下を防止
えとが丑の人は、自分と「同類」の牛肉を食べない方がいいと言われます。そして、仏教で地獄の獄卒(ごく‐そつ)とされるのが「牛頭馬頭」(ごずめず)のため、牛肉を食べると罰が当たって運気が下がるとの言い伝えもあります。また、人が生来持つ運勢を表す命格が、牛肉を食べると悪くなるという説もあります。ただ、どんな理由でも結論は一つ、「牛肉を食べなければ悪運に遭わない」ということです。
合格祈願や運気の低下防止などは非科学的と思われるかもしれませんが、台湾人にはこれを信じて牛肉を食べない人が少なくなく。皆さまの知り合いの台湾人にも食べない人が恐らくいると思いますので、食事する際には確認した方がよいでしょう。なぜ食べないのか理由を開いてみると、面白い答えが返ってくるかもしれませんよ。